道の駅北川はゆま

“That’s what she said.”-英語の下ネタを感じよう

英語

“That’s what she said.”

このフレーズは映画、ドラマ、そして日常会話の中でも時折使われるフレーズです。

原語をそのまま訳せば「それ、彼女が言ってた」ですが、

意味合いとしては「それ、彼女も言ってたよ」です。

そして暗に意味している部分を完全に含めると

「それ、彼女も言ってたよ。エッチの時にね」です。

このフレーズは誰かがその意図は無いにも関わらず、下ネタに聞こちゃうことを口にしたときにツッコミ、若しくはからかう為に使われるフレーズです。ネイティブならまず知っているはずです。

例を挙げますと、

難しい問題にお手上げの時

A:“It’s so hard”

B:“That’s what she said”

“hard”には「難しい」の他に「硬い」という意味があります。なので

「超難しい」と同時に

「超かったーい❤」とも解釈できるのです。

今回はこのような例を映画やドラマから紹介します。

『ウェインズ・ワールド』

このフレーズが映画で使われている有名なケースはこちらの作品です。

ウェインとガースがトークを交わしている時、ガースが大きな写真を掴んでいることに疲れ始めている時です。

ガース:Are you done yet? I’m getting tired of holding this.

ウェイン:Yeah, that’s what she said.

hold には「持つ」の他に実は「咥える」という意味があります。なので、このようにも聞こえるんです。

ガース「まだ終わらないの?もう“持ち/くわえ”続けるのウンザリなんだけど」

ウェイン「それ、彼女も言ってたよ」

つまり、エッチの時にお口で頑張っている時のシチュエーションです。しかも自分はスタミナも持久力もあるぜとも仄めかしていますね。

■「The Office」

このフレーズを語るうえで絶対に外せないのはこちらのコメディドラマです。このドラマのおかげで広く使われるようになったと云っても過言ではないかと思います。もちろん以前からあったギャグではありますが、このドラマの主人公マイケル(スティーブ・カレル)はどんな真剣なシチュエーションやもうセクハラになるような場面でも“That’s what she said”を言わずにいられないという人物です。そしてほとんどのケースが滑っているか、誰も笑わない、この気まずい状況が何度も何度も描かれるお約束のギャグになっています。ですので、何十回もこのフレーズはドラマ内に登場します。

まずは、もう前後の文脈なしにストレートでわかりやすいケース。

ドワイト:Put it in as deep as you can.

マイケル:That’s what she said.

ドワイト「できるかぎり奥まで突っ込んで」

マイケル「それ、彼女も言ってたよ」

ということは少し短いの?とも勘ぐれますね。

次はマイケルが会議室で一緒にビデオ見ないかと受付嬢のパムに勧めている場面。

マイケル:Pam?

パム:My mother’s coming

マイケル:That’s what she …(咳をしてごまかす)

デリカシーがないマイケルもさすがに躊躇した場面です。

comeは「来る」の他に「絶頂に達する」という意味があります。

日本語では「イク」と訳されます。なので、こうなります。

マイケル「パム?」

パム「ママがもうすぐ“来る/イク”から」

マイケル「それ彼女も言って…ゴホンゴホン」

と、ドセクハラになるのを何とか回避しました。これは日常会話で一番出てきやすいケースだと思います。誰かが“I’m coming”といった後に“That’s what she said”とツッコめる。しかし、これはあまりにも安直で使い古されている感があるのでそんなに使わない方がいいかと思います。初歩の初歩です。それを上手く昇華したのが上記のケースです。

ちなみに私が”come”を用いた例。いよいよカナダのバンクーバーからもうすぐ離れるという時です。

“I hadn’t dreamt that it’s so good before coming”

“That’s what she said”

直訳

「来る前はこんなに素敵だとは夢にも思わなかった」

別の意味

「イク前はこんなにイイなんて夢にも思わなかった」

■映像で残っている最古の例は『サイコ』の監督

このフレーズがいつ頃生まれたのかは諸説ありますが、映像媒体でこれが初めて記録されたのは1929年。そして口にしたのはサスペンス映画の巨匠:アルフレッド・ヒッチコックです。

彼の初のトーキー映画『恐喝』のテスト映像、つまり音声と映像の具合をテストする際に主演のアニー・オンドラとヒッチコックが雑談をします。その時にヒッチコックがアニーに言った台詞がこちら

ヒッチコック:Stand in your place otherwise it won’t come out right, as the girls said to the solder.

“As the girls said to the solder”が“That’s what she said”にあたります。フレーズは違いますが、含まれた意味は一緒です。

ネイティブの友人にも確認をしてもらいましたが、この時の”the solder”には「エッチがしたくて堪らない男性、経験が少ないウブな男」という意味合いも含んでいるようです。

一般的にこれが最初の“That’s what she said”系のギャグが映像で捕らえられた瞬間だと考えられています。

元々の意味は

ヒッチコック「しっかり(カメラから顔を逸らさないように)立ってくれないと、カメラにちゃんと映らないよ」

ただし、前後の文脈と、”Stand”、”come out”に違う意味を含ませているのでこのようにも聴こえるのでアニーは明らかに違ったニュアンスを掴み、笑いながら照れているんです。

ヒッチコック「勃ったままでいないと、ちゃんと発射できないでしょ」

■下ネタの力

このフレーズはテキストや参考書、英会話の教科書にも出てこないし、たとえ外国の語学学校に通っていても教えられることはまずないフレーズです。ある程度英語が喋れたり、TOEICやTOFELなどの英語試験で高得点を得られるような日本人でも意味が通じないことが多々あります。

しかしバンクーバーで私が会った色んな国から来た友人たちはもれなく知っていました。一体どこで身に付けたのか知りませんが、かなり一般的なものの様でした。

でも真面目な話、こうゆう下ネタを知っておくのは有用だと思います。なぜなら下ネタは世界共通で通じやすいユーモアなので、これが人との距離感を縮めることに繋がったり、場をより楽しいものにさせる力を持っていると信じます。

もちろん、このような笑いは好きじゃないという方もいるし、使い様によってはセクハラだと云われる危険もありますよ。

ですので、使い時は気をつけて下さい。ただ、これを的確に素早くツッコみ、使いこなした時、あなたの英語の力は相当なものだと思っていいです。そして、多少の文化の違いすらぱっと超えられるくだらない下ネタの力は決して下らないだけじゃないですよ。

これで映画やドラマが百倍十倍も面白くなるなんて過大なことは言いませんが、0.01%ぐらいは笑えるポイントが増えるのではないかと。

■最後に

他にも以下のフレーズの後は全て“That’s what she said”を突っ込めます。

・洋服選びの時などに

“That’s just too big for me” 「これは私には大き過ぎ」

・カードキーの使用法

“Put it in, then take it out slowly”「入れて、ゆっくり抜いて」

・授業中

“Turn over to page 69”「69ページに移りましょう」

最後に、私がバンクーバーで訊いて素敵!と思ったギャグを紹介します。

ルームメイトの女の子がUSBをどちらのプラグに挿せばいいのかわからない時

女の子S:Which hole should I put it in?

女の子M:That’s what “HE” said

女の子S「どっちに挿した方がいい?」

女の子M「それ、彼も言ってたよ」

そう、男性版もあるのです。そのバージョンを少しだけご紹介。

・洋服選びの時などに

“It’s too tight”「これ、きつすぎ」

・雨に濡れた時

“It’s really wet.”「びしょ濡れだよ」

・ロウソクのケーキを吹き消す時

“I’ll blow all of them at once.

本当に映画やドラマに限らず、日常会話でふと出てくるフレーズなので覚えておいて損はないですよ。

いささか長くなってしまったけど、満足しました?

It was rather long. Are you satisfied it?

それ、彼女も言ってたよ。あと彼も。

That’s what she said, and he said.