道の駅北川はゆま

グッド・ウィル・ハンティング

映画

■あらすじ

マサチューセッツ工科大学で清掃員として勤める主人公ウィルは生まれつきの天才。大学教授が学生たちに出した難問を解き、大学教授が彼の才能に目をつける。しかし、ウィルは心を閉ざし、自分の才能や人生に向き合う力を失っていた。やがて教授はウィルの心を開くために彼の友人ショーンをウィルに紹介する…。

■見どころ

こいつは本当に不思議な映画だ。

ずば抜けた天才が主人公という設定で、そいつがウジウジと悩んで、生意気にいきがっている、というとても共感できないようなお話なのになぜここまで心に触れる感動があるのか?

この映画は人生における大事なものをバランスよく描いているからだと思う。生まれつきの天才で、名門大学の教授たちを遥かに凌駕する頭脳を持っていようが、自分が何をしたいのか、何が大事なのか、本当に人生を生きる上で大切な答えはどこにあるのか?がわからない。わからないから目を背ける。どんな難問も解ける天才が解けない問題が“人生を生きるとは?”だった。それを超頭がいい人間が悩んでいる。そう、それを見つけるのに頭の良さは関係ないんだ。

しかし、この映画はちゃんと学問の大切さも描いているんだよね。いや、少なくとも“解く”という行為がとても楽しそうにエキサイティングなものだという姿を見せているね。そしてそれを信じてやまない人々が、主人公の天才ぶりに狼狽して肩を落とす姿を見せて学問の残酷さも描いている。

そして、友情というものもさらりと、しかしかなりインパクトのあるメッセージをベン・アフレック演じるチャッキーから放たれる。

「俺は50年力仕事をしていてもいいんだ。でもウィル、お前がそれをやってみろ。その時は俺がお前を殺してやる」

このシーンのベン・アフレックの演技と台詞は本当に素晴らしく、主人公ウィルがこれまでの人生や読んできた本の中からも見つけることができなかった“親友”ってなんだろう、という問いに一つの答えを見出す。仲良しな二人が書いたこの台詞を、彼らはいったいどんな気持ちで演じたんだろうね。

当時無名の若きマット・デイモンとベン・アフレックの素晴らしい脚本に、さらに真実味と説得力を持たせた名優たちの演技もいい。ウィルの人生の師と友人になるロビン・ウィリアムズはもちろん、ウィルの才能を見出すステラン・スカルスガルドの両者が本当に昔ながらの友人のように見える。彼らも単なるサブキャラクターではなく、人間らしい過去への苦悩や、若き才能への恐れなどにスポットをあてており、それを見事に演じ、この物語の奥行きをより高めているね。

あと、人生に大切なものとして愛ということもウィルが経験する様子が描かれている。が、正直この部分だけは他の学問や、友情に比べてハッとするシーンは少ない。けれどもこの映画が描く“人生に大切なもの”の一つとして描く必然性はあるし、むしろショーンと奥さんのエピソードがそれを十分なくらい補っている。

■最後のひと言

とにかく観終わった後に晴れやかな気持ちになる映画だ。主人公ウィルはショーンから「将来何がしたい?」と聞かれ「羊を飼いたい」という。彼は迷える羊。これから開かれている人生の可能性から目を背けて迷子になっている。そんな彼が様々な人と出逢い、そしてこれまで共にしていた友の本当の気持ちを知ることによって、やりたいことに向けて足を踏み出すお話。そんなウィルに友人たちがプレゼントするものがまぁ、ベタだけどグッドです。汚くて愛おしい素敵なプレゼントだ。不安が尽きない人生、そんなあなたの持つ鉛筆の先や、好きな人との握る手の中、そして迷子になりそうな心に、温かい火を灯してくれる青春映画の傑作だといえよう。

最後に、今回久しぶりに再見して、ハッとさせられたのは「君は自分の頭で考えているか?」ということを突き付けられた気がしたことだ。ウィルが本で読んだ知識で大学生を打ち負かし、カウンセラーやショーンを攻撃して傷つける。だが彼はショーンから思いもよらないカウンターが返される。

「君の言葉は全部本に書かれている」

このとき、ウィルはこれまで自分の頭で考えていないことに気づいた。ウィルはずば抜けた天才で、記憶力抜群、数学の難問を解くことができる。しかし、彼は自分で考えていないし、逃げてきた。そして、自分の頭で考える方法は調べちゃいけない。だって、その時点で自分の頭で考えていないから。これは本当に難しい問題だけど、そこからウィルは変わっていく。この自分の頭で考えることは、今の時代こそ考えなきゃいけないことだと思うよ。

自分も反省して、気をつけなきゃなと思います。映画を観る時や感想を書く時、調べることや意見を読んだり聴いたりするのも大事だし、楽しいけれど、まずは考えないといけないなと。